在黙 只、黙って此処に在る日記。
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勝手に映画論 vol.09

13.09.03

「ぼくのエリ 200歳の少女」

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「ヴァンパイアに恋をした12歳の少年の、怖ろしくも哀しく、美しい初恋物語」(ぴあ映画生活より)
ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストのベストセラー小説「モールス」が原作で、著者自身が脚本を手がけている。

邦題から連想するイメージがあまり良くなかったので、しばらく避けていたが、実際に観てみると「重く、切なく、美しく、残酷」そんな言葉があてはまる、内容の濃い評判どおりのすばらしい作品だった。

名作「小さな恋のメロディー」のヴァンパイア版と言われることもあるが、人間の血を糧に生きるヴァンパイアと人間の「種の壁」を乗り越えなければ成立しない恋愛は、主人公「オスカー」にとっては相手「エリ」を受け入れることが「人を殺す」ことの肯定となるため、ただの恋物語では片付けられない設定になっており、内容はもっと重い。

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見どころは、「種の壁」にぶつかりながらも、縮まっていく二人の心の距離。オスカーの純粋な恋に対して、エリには生存へのしたたかさが垣間見えるものの「純粋さ」では変わりがなく、二人にとってお互いがかけがえのない必要な存在となっていく様は、「恋」や「愛」を超越した「生命のつながり」のように思えた。

印象的なシーンは、中盤の「相手を殺してでも生き残りたい。それが生きるということ。」という台詞のあるシーンと、クライマックスのプールのシーン。前者は、生物全般に言える生存の真理をついた台詞であり、オスカーがエリと真に向き合い始める重要なポイントとなっているため印象的で、後者は斬新な描写と、残酷だが美しくもある二人の「つながり」を感じる衝撃的なシーンだった。

演出は丁寧で、台詞も無駄が無く少ない。映像も終始美しく、時折絶妙なトリミングのシーン等もあり、シーンに存在する空気感と共に立体的に物語が進んでいるように感じた。

ラストシーン以後の二人の結末が安易に想像できるのも、映画の印象をより強くしていると思う。

原作はまだ読んでないけど、映画では説明がなく分かりずらくなっている設定があるので、映画を観たあとにでも、どこかのネタバレサイトで調べてみてください。ちょっとはびっくりすると思います。

「映画好きなら絶対観た方が良い!」と言える作品です。

[作品情報]
作品名: ぼくのエリ 200歳の少女
製作年: 2008年
製作国: スウェーデン
監督: トーマス・アルフレッドソン
原作: ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
出演: カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション 他

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