在黙 只、黙って此処に在る日記。
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勝手に映画論 vol.07

10.07.07

「蟹工船」

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日本でカルト的な人気を誇る「SABU」監督の作品。個人的には日本の中で、5本の指に入るくらい好きな監督。「アンラッキー・モンキー」(1998年)を見てその世界観に惚れ、続いて「弾丸ランナー」(1996年)、「疾走」(2005年)で、確実な信頼感を持ってしまったので、上映を逃したのは痛いけど、この「蟹工船」は期待を持って借りてみた。

この作品は、プロレタリア作家、小林多喜二の同名小説を映画化したもので、「劣悪な労働環境下にある蟹工船を舞台に、虐げられる労働者と、彼らを酷使する監督者の間に起きる騒動を描き出す」(ぴあ映画生活より)というストーリー。

出演してる俳優陣は「松田龍平」「新井浩文」「大杉蓮」と、これも個人的にかなり好きな俳優が揃っていて、特に「松田龍平」と「新井浩文」のコンビは「松本大洋」原作の「青い春」以来で、一緒に映っているだけで何か内面から踊らされる様な感覚があった。(この二人は本当に存在感があると思います)

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特筆すべき部分は、何と言っても「リアルに描かれている過酷な労働風景」。時間を追うごとに、現場の状況が重くのしかかってきて、見てるだけなのに、もの凄く息苦しくなった。

「松田龍平」の演技も久しぶりに見たけど、驚く程の成長ぶり。父親の血筋が出ているのか、本人の努力によるものかは分からないけど、存在感と説得力が増している様に感じた。

所々に挟まれる一瞬の描写に「SABU」監督の独特のテイストがあり、その絵と構図に含まれているであろう意味が、抽象的表現として、体の中心に刺さってくる。

映画だけでなく、世に存在する「表現と呼ばれるもの」は、ジャンルを問わずどんな作品でも、人をやる気にさせるものは素晴らしいと思う。

それは自分の状況以下のものを見て、ある種の「同情」から生まれる「自意識の虚像」ではなく、または「富」や「名誉」といった外見のみの理想で構築された「利己的野心の希望」ではなく、薄っぺらな等身大を装って共感を得ようとする「商売的な媚び」ではない、目線の位置をずらすことなく、与えられる「純粋」なエネルギー。

この映画にはそれがあると思います。

現状にもがいている、正直で純粋な悩める人におすすめします。

p.s.
ちょっと「蟹缶」食べたくなくなりました。凄い好きなのに…。

[作品情報]
作品名: 蟹工船
製作年: 2009年
監督: SABU
出演: 松田龍平、西島秀俊、高良健吾、新井浩文、柄本時生、竹財輝之助、利重剛、滝藤賢一、山本浩司、中村靖日、谷村美月、菅田俊、大杉漣、木下隆行(TKO)、木本武宏(TKO) 他

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