在黙 只、黙って此処に在る日記。
DISIGN SITE
MUSIC SITE

勝手に映画論 vol.08

10.08.12

「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」

100812_01

この作品は、太宰治の同名短編小説を基にしたもので、「昭和20年代の混乱期を背景に放蕩三昧の夫を支え、逆境にめげることなく日々を過ごす女性のポジティブな生をとらえていく」(ぴあ映画生活より)というストーリー。

太宰治と言えば、昔「人間失格」を読んで、終始漂うあまりに救いのないネガティブな情景に心を蝕まれ、読んだ後に言いようのない陰鬱な気持ちにさせられた記憶がある。(しかも持続性があって、陽の光を浴びてない様な感覚で、何日か過ごす羽目になった…)

原作を知らずにこの映画を観たので、その後「青空文庫」で原作を読んでみたけど、両方知って思った事は、「原作を知らないで観た方が良いかもしれない」という事と、「原作と比べてはいけない」という事。

原作を知っている大体の人が感じると思うけど、この作品は要所要所のニュアンスが少し違っている為、原作に捕われず、純粋に「作品」として観ると、率直に面白いと思う。

「浅野忠信」や「松たか子」の演じる役はハマっているし、その他役者陣全体のレベルも高く、演出やテンポもわざとらしさの無い、主張し過ぎない程度で、全体的に高いクオリティで成り立っていると思った。

100812_02

ただ、かなり個人的に突っ込んだ感想になってしまうけど、この映画を観て主人公の設定が他人事には思え無かったことがちょっとキツかった。

常識を超え確立された自分だけの世界観を持つ主人公。簡単に言ってしまえば「自分勝手過ぎる人」になってしまうけど、自分も結構わがまま好き勝手やってきただけに、何となく主人公の気持ちが分からなくも無く、ブログカテゴリ「文学的言語映像」の「vol.02」(地下室の手記/ドストエフスキー)でも書いた様に、心臓をナイフで抉られている様な感覚で、観ているうちに自責の念に駆られてしまった。

「バンドで奏でる生の音楽」が持つ性質上、敢えて突っ込んだ位置に身を置いていた時期もあったが、少し引いている現在の自分が在るとしても、変わらない「中心点」というものはある。

太宰治は特別な位置にいる突出した天才。自分と同じ場所にいる訳ではない。
(そういった考えも自分が勝手に創り出しているものではあるけど)

現在は大きな思想の下に自分を如何に成長させるかが大事で、「生きるか死ぬか、それが問題だ(シェークスピア「ハムレット」より)」。

[作品情報]
作品名: ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~
製作年: 2009年
監督: 根岸吉太郎
出演: 松たか子、浅野忠信、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一、他

ZAIMOKU

CATEGORY

NEW TEXT

ARCHIVE

DESIGN SITE

MUSIC SITE

twitter