在黙 只、黙って此処に在る日記。
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屈折。

10.09.24

先日、ちょっとした用事で神保町に行った。

神保町といえば古本屋が数多く点在する「書籍の街」として有名だが、千代田区であるこの近くにはオフィス街も多く、企業が密集している土地でもある。

5,6年くらい前、神保町と竹橋の間ら辺で、雑誌制作の仕事をしていたことがあり、昼飯時には飯屋探しによくぶらぶらと出向いていたが、退職後は行くこともなくなり、思い出の街となっていた。

「記憶」という曖昧な脳内記録は、意図せず実際のものとは形も色も変わった映像として保存されているもので、久しぶりに見る街は知っているようで知らないような、何処か「しこり」のある違和感を与える。

下町とまではいかないが、昭和らしさのスパイスが入りつつも、クールで気取った街というような印象は今も昔も変わらない(行きかう人が皆スーツを着ているせいだろう)。

久しぶりに来たので、用事を済ませた後、「せっかくだから歩いて東京駅まで行こう」と思い、「懐かしさ」を噛み締めつつ、神保町をぶらぶら歩いた後、竹橋に向かい、皇居の堀に沿って歩くことにしたのだが、そこで異常な光景に出くわした。

全体の容姿を確認できない大きさの竜か大蛇の腹が目の前を蠢いていると思える程、堀に沿って走る延々と続くマラソンランナーの群れ。

噂には聞いていたけど、これ程までとは思わなかった。

一瞬飲まれて躊躇したが、見方を変えて、この状況のど真ん中を歩くとどうなるのかという好奇心の方が強くなり、以前蚊柱の中に敢えて突っ込んで歩いてみたように、マラソンランナー達と逆走する形で堀に沿って歩いてみることにした。

歩けど歩けど、途切れずに流れていくランナー達。不規則に次々と移り変わって行く、息を切らした生々しい表情の羅列。

俺の視力がもっと悪かったら、「イナゴの襲来です」と言われても信じたかもしれない。

堀沿いのベンチのある休憩ポイントまで、ランナーで埋め尽くされていて、立て看板には「ここはマラソン用の道ではありません。歩行者の迷惑にならないように〜」と書かれているが、これだけいたら、どんなに気を使ってもらっても、やはり迷惑だ。

確かにマラソンは、基礎体力の向上と精神の安定には効果があると思う。
俺もバンド活動時代にはやってたし、その効果は身をもって知っている。

ただ、走る場所なら腐るほどあるのに、何故此処に密集するのか。

そして、「不景気」「デフレスパイラル」等のマイナスな言葉が行き交っていたここ何年なのに、こんなことをしてていいのだろうかと、屈折した時間の余裕を感じてしまった。(仕事をしたくても仕事が無く、マラソンで潰しているなら話は別だが…)

まあ、特に何を言いたい訳じゃないけど…。
ただ、ちょっと不思議で面白い光景を見たというだけ。

これはきっと、これからの日本経済を盛り上げてくれる為の下準備に違いない。

ZAIMOKU

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