在黙 只、黙って此処に在る日記。
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勝手に映画論 vol.01

10.01.22

「野獣死すべし」

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言わずと知れた「松田優作」主演の角川映画で、「蘇る金狼」に次ぐ第2段。

昔、深夜テレビ放送で途中から見て、衝撃を受けたのが忘れられず、いつかもう一度ちゃんと見ようと思いながらも、10年も経ったことに気付いて最近見た。

「戦地を渡り歩いた通信社の元カメラマンが、翻訳の仕事に身を隠しながら、管理社会の安穏とした生活に犯罪で挑む姿を描く」(goo映画より)というシンプルなストーリー。

「主人公が戦争を体験していること」や「戦争と終戦後の社会における裏に隠された現実のコントラスト」、「クライマックスから急に切り替わる銃撃シーンの速いテンポ」等、 整頓化された社会における退廃した人間の見えない闇と向き合い、行動を起こしたロバート・デ・ニーロ主演の「タクシードライバー」に類似していると感じた部分もあり、「ハードボイルド」というジャンルに分けられているが、シンプルながら裏に隠されているであろう意味に考えさせられるものがあった。

特筆すべきは、何よりも「松田優作」の演技。「タクシードライバー」を見て「ロバート・デ・ニーロってやっぱり凄い!」と再認識させられたすぐ後に見たのだが、まるで引けを取らない迫真の演技。
クライマックスからラストにかけては圧巻で、ラストのオーケストラ公演会場で天井に指を立てながら叫ぶ一言には、思わず「凄い…」と言葉が漏れてしまった。

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「松田優作」に触発をされてか、もともとの才能なのかは分からないが、「加賀丈史」の存在感も素晴らしかった。「社会の枠をはみ出しきれない臆病な悪」の表現が見事にハマっていて、ストーリー上その上を行く「松田優作」の「はみ出した野獣」を説得力のあるカタチで引き立てていたと思う。

印象的なカメラワークは「松田優作」と「鹿賀丈史」がバーの中で4人掛けくらいのテーブルで会話をしているところ。「松田優作」は後ろ向きに腰掛けている為、帽子の部分のみで、「鹿賀丈史」が正面に映りながら会話をするシーンが、角度が変わらず長い間続く。全然関係ないけど、なんか「アレックス」の地下道で延々と続いた衝撃のシーンを思い出してしまった。

「社会的常識」の枠に捕われていない映画で、常に陰鬱な雰囲気が漂っているので、「綺麗なストーリー」や「ハッピーエンド」を好む人にはちょっとおすすめできないが、あらゆる規制によって表現の幅が狭くなってきている最近のメジャー映画に飽きて、「ちょっと刺激が欲しい」と思っている人にはおすすめです。

ただ、最近のテンポの速い映画に比べると、クライマックスに行くまでが非常にゆったりしているので、ちょっと根気がいるかもしれない…。

[作品情報]
作品名: 野獣死すべし
製作年: 1980年
監督: 村川透
原作: 大藪春彦
出演: 松田優作、小林麻美、室田日出男 他

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