在黙 只、黙って此処に在る日記。
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文学的言語映像 vol.01

10.02.18

「変身」 フランツ・カフカ

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「村上春樹」の「ノルウェーの森」を読んだ後、面白いと聞いて読んだ「海辺のカフカ」の中で、主人公が「フランツ・カフカ」の話をしてたから、「じゃあ読んでみよう」となって読んだという経緯。

1915年の作品だけに、人の内部に潜むあらゆるものを「変身」というテーマに落とし、「自意識の変化」=「変身」という意味で自我の葛藤を描き、ページ数が少ないながら、ドストエフスキーの「罪と罰」を思わせる作品なんではないかと勝手に想像して期待したんだけど、全く予期せぬ角度でやられた。

まず、予想を遥かに裏切るかたちでのストレートな「出オチ」。

野球に例えると、相手の投球スタイルを研究し尽くした上で、どんな球でしかけて来るかとシミュレーションをしつつバッターボックスに立ち、あらゆる駆け引きをした後に、虚を衝く「ごまかし」なしのど真ん中ストレートを投げられたような感じ。

展開に展開を重ね、読者の予想を踏まえた上で、さらに予想外な展開をするような進行ではなく、潔いと言っていい程ストーリーも外見上シンプル。

色々と戸惑いはあったけど、読みやすさもあったからか、最初のインパクトに負ける事なく次々とページをめくり、人生で初めて1日で本を読み終えてしまった。

外見的には、非現実的なものをありふれた日常に、「ごまかし」なくシンプルに落としたものではあるけど、だからこそ、より一層生々しい現実感が伝わり、裏に隠されているであろう深い重みが後から伸し掛かってきて、あれこれと考えさせられた。

さらに、見方を変えると笑えるし、また別の見方をすると、途方のないせつなさが押し寄せて来る不思議な後味。

この作品は「多忙で、創作に要する時間が不足していた為、不完全で失敗作」だとカフカ自身が語ったらしいが、「ミロのヴィーナス」の様に不完全だからこそ、受け手の想像力により完成されるものではないだろうかと思う。

それで個人的には、 実は最初の「出オチ」はフェイントで、それを取り巻く「環境」こそがまさに「変身」なのではないかという結論に今のところは落ち着いた。

「海外文学最高傑作のひとつ」として評されているだけに、あなどって簡単な解釈も発言もできないし、俺自身、それ程文学に長けている訳じゃないけど、ただひとつ言える事、

これはおもしろいです。

ZAIMOKU

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